S三谷行政書士事務所

使用済み家電と不用品回収業者のコンプライアンス

使用済み家電と不用品回収業者のコンプライアンスについて解説します。
有害使用済機器保管等届出をサポート。

使用済み家電と不用品回収業者

不用品の無料回収をうたい使用済み家電等を収集し、空き地などに保管している不用品回収業者がいます。多くの自治体がその存在を確認しており、消費者とのトラブルもあり、廃棄物処理法上の問題意識を持ちつつも、適切な指導がなされない実態がありました。
最近では、取締りの強化により、業者が減少傾向にありますが、以前は、依頼していないものまでトラックに積み込み、高額な料金を請求するような悪質業者もあり、特定商取引法違反で摘発された事例もありました。

使用済物品の適正な処理

このような悪徳業者は論外ですが、一般家庭から使用済みの家電などを引き取る際に料金を徴収する無許可業者が問題となってきたことから、環境省は平成22年10月に「使用済物品の適正な処理の確保について」により、料金を徴収して使用済み家電等を引き取る場合だけでなく、無料の場合や著しい低価格で買取する場合についても、廃棄物に該当する疑いがある場合には、廃棄物処理法に基づき報告の徴収や立入検査を行うよう、全国の自治体へ通知しました。

使用済家電製品の廃棄物該当性の判断

平成22年の通知では、廃棄物該当性の判断について具体的基準が示されていないこともあってか、無許可業者の暗躍が続く中、家電リサイクル法の指定物品が不正に輸出されていること等が大きな問題となり、環境省は再度、平成24年3月に「使用済家電製品の廃棄物該当性の判断について」により、全国の自治体へ、性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して廃棄物該当性を判断するよう改めて通知し、特に家電リサイクル品目については、無料引取りの場合や買取りの場合であっても直ちに有価物と判断しないよう明示しました。
この通知により、リユース・リサイクル仕分け基準の作成に係るガイドラインを発表するとともに、消費者にむけて大規模な啓発活動を開始しました。

廃棄物処理法とバーゼル法

中古又は使用済家電製品を輸出しようとする際の注意点

廃棄物処理法により、廃棄物の輸出には環境大臣の確認が必要ですが、上記通知により廃棄物該当性の判断指針が明確化されたことに伴い、平成24年4月に「中古又は使用済家電製品を輸出しようとする際の注意点」が関係者関係機関へ通知されました。

使用済家電製品の不法輸出防止のための行政指導・取締の徹底

平成24年の環境省・関係自治体による調査の結果、保税地域において廃棄物に該当する家電リサイクル品目の使用済み家電等が発見されたことから、指導・取締の徹底が公表されました。

無確認輸出をする目的で搬入予定地域に廃棄物を搬入した時点で予備罪、通関手続のために輸出申告を行った時点で未遂罪に該当することになります。
(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第25条第2項及び第27条)

中古品判断基準

有害廃棄物等の輸出入を規制するバーゼル法により、有害な鉛を含有する使用済みブラウン管テレビの輸出には経済産業大臣の承認が必要であり、地デジ移行に伴い、使用済みブラウン管テレビの廃棄の増加が予想されることから、環境省は平成21年9月に「使用済みブラウン管テレビの輸出時における中古品判断基準」を発表し、リユースに適さない使用済みブラウン管テレビが、リユースの名目で輸出されることのないよう判断基準を明確化しました。

リユース目的で輸出する場合はバーゼル法の規制を受けないため、実際にはリユースには適さない電気・電子機器が中古品と偽って輸出され発展途上国等において環境問題となっていることから、環境省は平成25年9月に、「使用済み電気・電子機器の輸出時における中古品判断基準」を発表し、平成26年4月から適用されます。以降は、使用済みブラウン管テレビもこちらの基準が適用されます。

不用品回収業者と一般廃棄物収集運搬業許可

古物商の免許を持って、不用品の買取りや無料回収のみを行っており、引取りに際して料金を徴収することは決してせず、コンプライアンス経営を続けていても、行政の廃棄物該当性の積極的判断への方針転換により、一般廃棄物収集運搬業の許可を受けずに不用品回収業を続けて行くことは困難な状況となりました。
許可業者となれば、小売店や消費者からリサイクル料金とは別に収集・運搬料金を受け取って家電リサイクル品を指定引取場所へ運搬することも可能です。
もちろん家電等に限らず許可を受けたすべて廃棄物の収集運搬を取り扱うことが可能となりますから、ビジネス拡大のチャンスともなります。

有害使用済機器

平成29年6月の廃棄物処理法の改正により、有価物として収集された有害使用済機器(家電リサイクル4品目+小型家電リサイクル28品目)の保管・処分を行う業者の届出制度が創設され、平成30年4月1日に施行されました。 廃棄物と同様の保管基準が適用されることになり、一層のコンプライアンスが求められています。