S三谷行政書士事務所

廃棄物該当性

廃棄物処理法の廃棄物該当性について解説します。

総合判断説

廃棄物有価物なのか次の5要素から総合的に判断する総合判断説がとられています。

  1. 物の性状
    • 利用用途に要求される品質を満足しているか
      • JIS規格等の客観的基準があればそれに適合しているか
      • 十分な品質管理がなされているか
    • 飛散、流出、悪臭の発生等の生活環境保全上の支障が発生するおそれがないか
      • 環境基準等を満たしているか
  2. 排出の状況
    • 需要に沿った計画的な排出か
    • 排出前や排出時に適切な保管や品質管理がなされているか
  3. 通常の取扱い形態
    • 製品としての市場が形成されているか
    • 廃棄物として処理されている事例はないか
  4. 取引価値の有無
    • 占有者と取引の相手方の間で有償譲渡がなされているか
      • 名目を問わず処理料金に相当する金品の受領はないか
      • 譲渡価格が競合製品や運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活動として合理的な額か
      • 他にも有償譲渡の実績があるか
  5. 占有者の意思
    • 適切に利用し又は他人に有償譲渡する意思が認められるか
    • 放置又は処分の意思は認められないか
輸送費の取扱い

環境省は平成17年3月に「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成16年3月19日閣議決定)」において平成16年度中に講ずることとされた措置(廃棄物処理法の適用関係)について(通知)により、廃棄物該当性を判断するにあたっての輸送費の取扱方針について、全国の自治体へ通知しました。

産業廃棄物の占有者がその廃棄物を再生利用等のため有償で譲り受ける者へ引き渡す場合において、引渡し側が輸送費を負担しその輸送費が売却代金を上回る場合など取引全体で引渡し側に経済的損失が生じる場合は譲り受ける者が占有者となる時点までは廃棄物、それ以降は有価物となります。

環境省の通知

環境省は平成25年3月に行政処分の指針について(通知)の4の(2)廃棄物該当性の判断についてにより、全国の自治体へ、性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断するよう改めて通知しました。
また、次の2通知も併せて参考にするよう通知されています。

最高裁の判例

おからの処理を無許可で有料で受託していた業者が、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反で有罪となった判例があります。
この裁判では、おからが産業廃棄物に該当するか否かが争点となり、総合的判断説に基づき、このケースでは産業廃棄物に該当するとされました。