S三谷行政書士事務所

NPOワンストップセンター

NPOの法人化、NPO法人設立のページへようこそ。

任意団体の法人化

NPOに限らず、任意団体を法人化するということは、端的にいえば「登記」をすることです。これにより法人名で、銀行口座をつくったり、契約したり、借金したり、資産を保有したり、従業員を雇ったりすることが可能となります。本格的な事業活動のためにはどれも必要なことばかりです。
法人化することなく事業を拡大していけば代表者や中心メンバーの負担が大きくなり活動が継続できなくなることが懸念されます。
これらの必要性・問題点が実感できないない段階であっても、将来的には法人化が必要になるかもしれませんから、早い段階で検討しておくことは有意義です。

法人化のメリット

上記の法人名でいろいろなことができるのは、一言でいえば社会的信用が獲得できるからということになります。もちろん、任意団体として地道な活動を継続して得られる地域からの信頼に勝るものはありませんが、さらなるステップアップにつながるかもしれません。

法人化のデメリット

まずなんといっても、一般には設立に相当の経費がかかるということでしょう。(NPO法人は法定費用が無料です。)また、メリットとしてあげた社会的信用度とセットになりますが納税などの社会的責任が発生することが、デメリットと感じる方もいるかもしれません。社会的責任のアップがデメリットと感じるのであれば、NPO法人化はおすすめいたしません。

NPOのNPO法人化

NPOを法人化するにあたって、法人形態はもちろんNPO法人に限られるわけではありませんが、まずNPO法人ならではのメリット・デメリットは何でしょうか?

NPO法人のメリット

設立法定費用がゼロ

設立法定費用が無料です。資本金の制度もありません。
株式会社を例にとると最低でも次の費用が必要ですが、この経費が無料です。

定款認証手数料 50,000円 公証人手数料令第35条
収入印紙 40,000円 印紙税法別表第1[第6号文書]
登録免許税 150,000円 登録免許税法別表第1 24(1)イ
合計 240,000円 ←NPO法人は0円です。
税制の優遇

株式会社などの普通法人に比較して、有利な部分があります。誤解されている方もいるかもしれませんが、任意団体のNPOがNPO法人化しても税制上の取り扱いはほとんど変わりません。任意団体は税務当局の捕捉が困難なので課税されていない団体があるというだけです。
次のような点が、普通法人に対して優遇されています。

  1. 領収書に収入印紙が不要
  2. 収益事業(34種)を営んでいなければ法人税が非課税
  3. 2の場合住民税均等割(70,000円~)も減免されることが多い
  4. その他の地方税についても減免されることがある

NPO法人のデメリット

時間と手間

設立法定費用は無料ですが、設立には時間と手間がかかります
NPO法人の設立には都道府県(又は内閣府)の認証が必要です。(特定非営利活動促進法第10条第1項)この認証には最大で4か月の時間がかかります。(同法第10条第2項+第12条第2項)

適正な運営

NPO法人は特定非営利活動促進法や定款に基づき、適正な法人運営が求められます。
具体的には次のような事項があげられます。

  • 年1回以上総会を開催すること
  • 事業年度終了後3か月以内に所轄庁へ事業報告書を提出すること
  • 毎年度末の資産総額に変更があれば法務局に変更登記を行うこと

NPO法人以外の法人形態

NPO法人以外にも法人形態の選択肢があります。公益法人制度改革により2008年12月に一般社団法人・一般財団法人の制度がスタートしました。法人設立の許可制が廃止され、設立自体は自由にできることになりました。公益を目的とせずに設立することも可能です。
次の4条件をすべて満たせば非営利型の法人として法人税は収益事業のみの課税となります。(法人税法施行令第3条第1項)

  1. 定款に剰余金の分配を行わない規定があること
  2. 定款に解散したときはその残余財産が国若しくは地方公共団体等に帰属する規定があること
  3. 1及び2の定款の規定に違反して特定の者に利益を与えること決定し又は行ったことがないこと
  4. 理事の親族等が理事総数の3分の1以上を占めないこと
NPO法人と一般法人の比較

一般法人は、所轄庁の認証が不要ですから、設立に時間はかかりません。ただし、法定費用(定款認証50,000円+登録免許税60,000円=110,000円)が必要です。NPO法人は所轄庁の認定に最長4か月(最短でも2か月超)にかかりますから、何らかの事情で法人格取得にリミットがあるのであれば、有力な選択肢となるでしょう。ただし、現状では一般社団法人・一般財団法人は社会的認知度はまだまだ不足しているかもしれません。
また、一般法人は、公益認定を受けて公益社団法人・公益財団法人となることができます。公益法人となれば、税制面の優遇措置が相当大きくなります。幼稚園や福祉施設の一部は固定資産税が非課税となりますので、事業形態によっては極めて有利な立場になれます。
みずからの団体の現状と将来の事業構想などを総合的に勘案して、最適な法人形態を選択することが重要です。